二輪車用のエンジンオイルが四輪車用のオイルと比べて大きく違わなければいけない三つ目の理由は、ギアボックスの潤滑もエンジンオイルが担うことです。つまり、二輪用のオイルにはギアオイルの性能も幾分かなければなりません。もちろん、そうでないケースも、ハーレーやBMWなどであるのですが、日本製二輪車の多くはエンジンオイルとギアオイルが共用となっています。

四輪車用のトランスミッションのギアは、静粛性などを考慮し、ギアをヘリカルという回転方向に斜めに切ってあるタイプになっています。一方、二輪車の場合、その多くはスパーという回転軸に対し平行に歯が切ってあるタイプのギアを使用しています。そのほうがダイレクトに効率よくパワーを伝えられるからです。コスト面でもメリットがあります。ギア音といううるささはありますが・・・。ちなみに、四輪車でもバックギアにはスパータイプのギアを使用しているので、後進時にはウイーンという独特のギア音が聞かれます。

さて、二輪車ではこのスパータイプのギアを高速で噛み合わせるわけで、潤滑油にそれなりの性能がないと、四輪車に比べ車重が低く、荷重はずっと少ないとはいえ、ピッチング、つまりギアの峰の部分が多く磨耗するという問題が生じます。これはオイル自身の粘度が原因となっている部分と、磨耗防止の添加剤(エンジン内部に対してより、より耐荷重性に優れるもの)の部分との二面があります。

粘度の面では、四輪車の省燃費オイルの典型的な粘度(0W20, 5W20, 0W30, 5W30)では、トランスミッションのギアに対してはまったく不十分と考えられています。ギアの磨耗が進み、走りのスムーズさを損なうことになるのです。それには高温粘度だけでなく、Wで表示される低温粘度も悪影響を与えるとされています。

磨耗防止の添加剤も最も効果があるとされている添加剤は、最新の四輪用オイルでは規格で添加量を制限されていることもあり、ますます四輪用オイルを二輪車に使用することは不適となってきています。

二輪車、四輪車とも進化すればするほど独自の方向性が明らかになってきています。四輪車には四輪車に適当なものを、二輪車には二輪車の構造にふさわしく、適合したものを使うべきなのです。エルフではオートバイには専用の二輪車用のオイルを用意しています。オートバイも乗られる方はぜひご使用ください。


日本クラシックカー会報誌「オイル・色々ばなし−27」より



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