オイルを選ぶときの性能基準といえば、たいていの人が思い浮かべるAPI(アメリカ石油協会)があります。SMとかSNとかオイル缶に表示されているアルファベットです。同じAPIが管理している規格でILSAC(国際潤滑油規格認定委員会)も最近は認知されてきています。これは日米の自動車工業会が作った組織で、APIの最新規格をベースに特に省燃費を第一義に据えた規格となっています。APIの規格は日米だけでなく、広く世界中で使われています。いわばグローバルスタンダードですね。

一方、ヨーロッパではヨーロッパ独自の規格があり、欧州車にはこれが重視される傾向があります。ACEA(欧州自動車工業会)と呼ばれるものがそうです。ちなみにここにはヨーロッパのすべての自動車メーカーが加盟し、アメリカのメーカーもヨーロッパの子会社、関連会社を通じすべてが加盟しています。日本のメーカーは未加盟ですが、将来的には加盟が認められると思います。欧州で生産していますから。

さて、APIとACEAの世界を二分するといっていいエンジンオイルの規格ですが、方向性は近年近づきつつあるものの、依然として考え方の違いがあるものとなっています。その違いは地域によるクルマ自体の違い、使用環境の違いがベースになっています。

大きなエンジンでゆったり走るアメリカ、日本にしても、高速走行といっても初代新幹線並みのスピードで巡航はありえないでしょう(?)。対照的にヨーロッパでは小排気量で活発な走りが、つまりアクセルを踏み込むような走りがあたりまえで(マニュアル車が相変わらず多いのも、スポーツ走行を好むドライバーが多いから、ということを聞いたことがあります。)、加えてアウトバーンなど高速道路の存在が大きいのです。新幹線、場合によっては最新の新幹線より速い速度で巡航するクルマもあり、そんな使用条件を想定すれば必然的にオイルに求められる性能も違ってくるというものです。

一言で言えば、ヨーロッパの規格のほうがより過酷な条件を想定し、そのような中でもエンジンをプロテクトする性能を厳しく定めているといえます。オイル自体の耐久性も重要な案件です。もちろんAPIが劣る規格であるといってはいませんので、誤解のないよう。ただクルマ文化の違いがオイル作りのコンセプトに違いを及ぼすというお話しでした。


日本クラシックカー会報誌「オイル・色々ばなし−8」より



※上記は2007年以前に寄稿したものであり、2008年にACEA(欧州自動車工業会)にトヨタ自動車が加入しています。



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