エルフが他のオイルメーカーと違うところは、レース用の燃料やオイルをエンジンやレースカテゴリーに合わせオーダーメイドし、かつ販売しているところです。F-1に始まりWRCなどのラリー、ルマンをはじめとする耐久レース、そしてモーターサイクルレースの最高峰―MOTO GPを筆頭とするロードレース世界選手権など、あらゆるモータースポーツのカテゴリーに燃料・オイルを独自に開発し供給してきました。そこで得られたノウハウ、テクノロジーは数多く、エルフを常にこの世界でのトップランナーとして認めさせる源泉となっています。

燃料についていうと、通常われわれが自動車用の燃料といった場合、思い浮かべるのは、ハイオク、レギュラー、軽油といった3種です。ガソリンに限ると2種類あるということになりますが、レーシングという世界で燃料としての性能を突き詰めていくとカテゴライズは、ちょっと異なったものとなります。一番大きなところは、ターボチャージドエンジンと自然吸気エンジンではガソリンに求められる性能が違うというところです。また、4ストロークエンジンと2ストロークエンジンでは燃料も違ってしかるべきです。エルフは先に述べたように、さまざまなジャンルに関わり、かつ技術を磨き上げる過程で、エンジンマニュファクチャらーとともに、知られざる事実を発見し、開発の方向性を見出していったのです。

ターボエンジンではまず、過給により圧縮比がカタログデータより高くなるため、ノッキングがおこりやすくなります。つまりノッキング防止のためのオクタン価が重要となります。特に過給圧を上げるためにはできる限りハイオクタン−リサーチオクタン価もモーターオクタン価も両方−であることが好ましいわけです。また、過給されるわけですから(直接触れることはないとはいえ、構造上排気ガスで過給されることも手伝って)、吸引される空気の温度が高くなります。インタークーラーで通常、冷却しますが、それでも吸気温度は自然吸気エンジンに比べ高温なのが普通です。ということは、より高温域できれいに気化してくれるガソリンの性能が好ましくなるわけです。というところで、紙面がつきましたので、次回さらに続けることとします。


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日本クラシックカー会報誌「オイル・色々ばなし−13」より


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